胸を鍛えるためのエクササイズは数あれど、プレス種目をやらない人はほとんどいないでしょう。
大胸筋のプレス種目はトレーニングの醍醐味、男のロマンでもあります。
ベンチプレスとは、トレーニングベンチに仰向けになり胸の上でウエイトを上げ下げするエクササイズですがその際に「バーベル」か「ダンベル」のどちらを選択するかというのは難しい問題です。
大胸筋をデカくするためには果たしてどっちがいいのでしょうか。
バーベルベンチのメリット・デメリット
まずバーベルベンチの一番のメリットは、高重量を扱えるという点でしょう。
胸のエクササイズの中では間違いなく最も高重量を扱えます。
上半身メインのエクササイズの中でも、デッドリフトに次いで高重量が使えます。
デッドリフトはやり方によりますが脚も関与するので、バーベルベンチがナンバーワンと言っても過言ではありません。(ベンチプレスも脚で踏ん張りますが)
高重量を使えるという事のメリットの一つは、「筋力」を鍛えることが出来る点です。
単純に力が付きます。
ベンチプレス世界一の人が、大胸筋の大きさ世界一ではないように、筋力=筋量ではありませんが、筋力≒筋量です。
パワーが付けば、他のエクササイズでも重量を増やしていけます。
高重量を使うもう一つのメリットは、筋肉に強い刺激を与えることが出来る点です。
単純に数値上でも10kgより20kg、100kgより101kgの方が強い刺激を与えられます。
また、バーベルはプレートさえあればどんどん重量は増やせます。
しかし一方で、バーベルベンチは「大胸筋をターゲットにする」という点から考えると良い点ばかりではありません。
一つ目は、大胸筋以外も使うという点です。
「高重量を扱える」というのは、胸筋以外の筋肉も使っているからという理由があります。
主な筋肉は、上腕三頭筋と肩の前部です。
バーベルは左右のウエイトがバーで繋がっています。
これは、持った時に腕が固定されていて、腕を突っ張る力でもバーベルを挙げられてしまいます。
このため、バーベルベンチでは上腕三頭筋が大きく関与します。
トップボディビルダーの合戸孝二さんは、バーベルベンチを鬼のように行うことで有名ですが、ベンチプレスだけで上腕三頭筋も一緒に鍛えられるので上腕三頭筋のトレーニングはしないそうです。
また、慣れてない人にありがちですが、しっかり胸を張らずに行ったり、腕で挙げようとしてしまうと肩の前部も大きく使ってしまいます。
バーベルベンチで肩を痛めてしまう人が多いことでも分かります。
もう一つは収縮・伸張がかかりにくい点です。
前述の通り、バーベルは胸の上でバーが繋がっているので、一番下ろしても胸までしか下がりません。
胸を張ることが大切ですが、張れば張るほど胸の位置が上がるのでバーベルが下がらなくなるという状態になります。
また、握っている位置が固定しているので、両腕を近づけて大胸筋を収縮させることが出来ません。
ダンベルベンチのメリット・デメリット
続いてダンベルですが、一番のメリットは大胸筋のみに効かせやすい点です。
実際にバーベル、ダンベル、マシンでベンチプレスを行った結果、ダンベルが最も大胸筋が活動していたという研究結果もあります。
またトルクとモーメントアームの面から言っても、ダンベルベンチの方が大胸筋に負荷がかかります。
トルクとモーメントについてはよかったら下記の記事をご覧ください。
さらに収縮と伸張の面から考えても、ダンベルのほうが軍配が上がります。
トップポジションでは腕を近づけて収縮出来るし、ボトムポジションではストレッチをかけられます。
ただし一方で、バーベルより高重量を使うことは出来ません。
バーベルベンチで100kg出来ても、ダンベルベンチで片手50kgずつ持って100kg出来る人はいないでしょう。
ただしこれは前述の通り、バーベルは大胸筋以外の筋肉を使っているからということですが。
あと、ダンベルは設備的な限界があります。
ゴールジムとかは別ですが、公共のジムとかだとダンベルは20kgとか30kgくらいまでしか置いていないところもあります。
馴れてくると物足りないかもしれません。
結局どっちがいい?
ここまで書いてきたように、バーベルとダンベルそれぞれにメリット・デメリットがあります。
トレーニングの目的やトレーニング環境、骨格の個人差によって一概には言えませんが、「大胸筋の筋肥大」ということに関して言うと、ダンベルに分があるようです。
ダンベルのみでもOK
実際、トレーニング上級者になるとバーベルベンチはやっていないという人は結構多いです。
でもやっぱりバーベルベンチもやりたいという人もいそうだし、筋力アップさせていくことも全体のレベルアップに繋がりそうです。
もちろん両方やってもいいし、胸のエクササイズはベンチプレスだけではありません。
ストレッチさせるにはフライ系のエクササイズも取り入れたほうがいいでしょう。
それぞれのメリットを活かしたメニュー
一例ですが、それぞれのメリットをコラボさせたメニューを組むとしたら、
- バーベルは筋力アップ狙いで3~6レップ
- ダンベルは筋肥大狙いで8~12レップ
さらに
- ストレッチ狙いでダンベルフライ系を8〜12レップ
- 収縮狙いでケーブルクロスオーバー10〜12レップ
仕上げに
パンプアップ狙いでプッシュアップを限界まで
順番も悩みどころですが、3ヶ月おきくらいで入れ替えていくというものありだと思います。
では今回は以上です。