運動と栄養で”循環力”を上げましょう!運動生理学講座Vol.5

運動生理学講座第5回目として、今回は「循環」です。
心臓、血液、血行をテーマにやっていきます。

「流れる川は腐らない」という言葉があります。
常に流れている、動いていことが良いとする喩えです。
逆に循環が悪いと、何やっても駄目です。

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心臓や血管の病気の方はコロナウイルスの重症化が懸念されています。
健康な人は筋トレで心臓や血管の機能を上げることが可能です。
運動している人が健康なのは循環力が高いことも大きな理由です。

サラッと基本的な知識をつけて、ぜひ実践してみてください。

心臓と筋肉は人体のポンプ

人体での循環は血液循環とリンパ循環があります。

  • 血液循環・・・血液によって、酸素や栄養を全身の細胞に運ぶ。老廃物を処理する器官に運ぶ。
  • リンパ循環・・・リンパ液によって余分な水分を血液に戻す。脂肪を運ぶ。

今回は血液循環のお話です。
リンパ循環はまたの機会にさせていただきます。

まずは心臓から行きましょう。

人間の最大の循環器は心臓です。
心臓は左右に2つのポンプ機能を持っています。
血液を吸い上げたり送ったりしてます。

右心房→右心室→肺動脈→肺で酸素を受け取る↩
↪左心房→左心室→大動脈→全身に送り出す→(右心房に戻る)

心臓から出ていく通り道の血管が動脈、心臓に戻っていく血管が静脈です。

まさに循環という言葉通り、心臓を中心に全身をひとまわりして繰り返しています。

心臓と同じく、血管や筋肉もポンプ機能を持っています。
循環力を上げるには、ポンプ機能を強化してあげることが大切です。

トレーニングで心臓が肥大し、血管が増える

心臓の筋肉が収縮することでポンプ機能が働きます。
ポンプ機能はトレーニングを継続することで改善していけちゃいます。

心臓も筋肉なので、他の筋肉同様にストレス適用で肥大します。

一般人と心臓に負担をかける運動選手の心臓の容積を比較すると1.5倍もの差があることもあります。
特に持久系スポーツの選手は心拍数が高い状態が多く心臓が大きくなります。

心臓が強く大きくなるということは、1回の拍動で送り出せる血液量がドバっと増えるということです。
その分、多くの酸素や栄養を体中に行き渡らせることが出来ます。

ハルト

心拍数があがるようなトレーニングを取り入れるのがいいですね。

さらに、トレーニングによって毛細血管も増えます。
血管内皮細胞増殖因子というのが活性化して、血管がないところに新しく血管が作られるんです。
毛細血管は筋繊維の間を這うように走っているので、これまた筋肉が喜ぶことになります。

血管内皮細胞増殖因子はvascular endothelial growth factorの頭文字を取ってVEGFと呼ばれます。

少し余談ですが、英語の最初をよく見るとvascularとあります。バスキュラーです。
ボディビルに少し触れたことがある人は、バスキュラリティという言葉を知っていると思いますが、これは血管がバリバリに浮き上がって迫力ある仕上がりになっていることを意味します。

血液の成分と働き

次に、心臓や血管の中を通る血液についてです。
私達の体重の7〜8%は血液です。
体重70キロだと5キロくらいが血液です。
血液は次のような機能を持っています。

血液の機能

呼吸作用・・・酸素の運搬
調節作用・・・ホルモンや体温などの調節
栄養作用・・・栄養素の運搬
排泄作用・・・老廃物の排泄
保護作用・・・白血球や血液凝固による防御

このように血液はめちゃくちゃ重要な機能を持っています。
血液を濃くして、一時的に能力を高めるという血液ドーピングもあるくらいです。

自己血輸血はドーピングの手法としても用いられる。 予め保存しておいた自己血を用いて、競技前に自己血輸血を行うことで体内の赤血球の量を増やし、一時的に心肺能力を高めるというものである。

ついでに血液の成分も覚えておきましょう。

血液は血漿と細胞成分で構成されています。
さらに血漿はほぼ水分です。
細胞成分の中に、赤血球・白血球・血小板があります。
赤血球の中にヘモグロビンがあり、酸素はヘモグロビンによって運ばれます。

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血行を良くする方法

ハルト

ここからは具体的な方法です!

さて、実際にどうすれば循環をよく出来るのかと方法を見ていきましょう。
循環力が低いとどんなサプリメントを摂っても組織に届きません。

以下の2点が重要です。

  • 循環器である心臓や血管を強く大きくする
  • 血行を良くする

これを実現するための手段は、やはり運動と栄養です。

やっぱり下半身の筋トレが大事

筋トレをやった後に、一時的に腕とかに血管が浮き出た経験があると思いますが、筋肉の持つ血液のポンプ機能を上げ、心拍数を高くする筋トレと言えば何と言っても脚のトレーニングです。

人間の筋肉の7割は下半身にあります。
循環力アップを目指すなら脚トレは欠かせません。

私自身、脚トレをやってなかった時期もありますが、これではいかんとスクワットだけでもやるようにしたらかなり調子いいです。

ロニー・コールマンの名言をどうぞ。

Shut Up!Squat! (黙ってスクワットしろ!)

上半身は筋肉をパンプアップさせてあげるのも血行が良くなります。

血行を良くする栄養素と食品

栄養面からのアプローチもしておきましょう。

まずはです。
血を舐めると鉄の味がしますよね。
鉄は赤血球の材料になります。

肉や魚や卵など動物性食品には吸収性の高いヘム鉄が多く含まれてます。
たんぱく質も摂れるので、肉や魚や卵はしっかり食べましょう。

次にビタミンEです。
ビタミンEは血液をサラサラにしてくれます。
ビタミンEを多く含む食品はアーモンドなどのナッツ類、小麦胚芽、植物油などです。

そしてアルギニンです。
アルギニンはアミノ酸のひとつです。
アルギニンを摂ると、体の中で一酸化窒素(NO)を出します。
一酸化窒素は血管を広げてくれるんです。

そのため、筋肉をパンプアップさせるために、筋トレ前にアルギニンサプリメントを摂るボディビルダーが多いです。
エナジードリンクにも多く入ってます。

しょうがやにんにくなどの薬味も血行改善効果があります。
肉や魚や豆腐とかにのせて食べるといいですね。

まとめ

健康のためにも筋トレのためにも循環力はかなり重要です。

ハルト

体を動かせば血も動く!

以上です。